「逆ベタ基礎はシロアリに強いと聞いたけれど、本当に対策は必要ないのだろうか」「もし対策するなら、どんな方法があって費用はどれくらいかかるの?」
マイホームを建てる際、基礎の選択は家の寿命を左右する重要な決断です。特に逆ベタ基礎はその特徴から、シロアリ対策について様々な情報が飛び交っています。
この記事では、逆ベタ基礎のデメリットや、他の工法である布基礎のシロアリ対策との比較、さらには具体的な薬剤の選定や定期的な点検の重要性まで、シロアリに強い基礎を作るための知識を網羅的に解説します。
あなたの家づくりに関する疑問や不安を解消し、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
- 逆ベタ基礎がシロアリに強いと言われる本当の理由と弱点
- 他の基礎(ベタ基礎・布基礎)とのシロアリ耐性の違い
- 具体的なシロアリ予防策(薬剤・DIY・費用・点検)の詳細
- 長期的に安心して住むためのメンテナンス計画の立て方
逆ベタ基礎とシロアリ対策の基本知識

うちなー害虫バスターズ・イメージ
- 逆ベタ基礎はシロアリを寄せ付けない?その特徴を解説
- シロアリに強い基礎はどれ?逆ベタ・ベタ・布基礎を比較
- 布基礎のシロアリ対策が特に重要な理由と具体的な方法
- 逆ベタ基礎のデメリットは?意外なシロアリの侵入経路
- 逆ベタ基礎でもシロアリ予防は必要ない?専門家の見解
逆ベタ基礎はシロアリを寄せ付けない?その特徴を解説

うちなー害虫バスターズ・イメージ
逆ベタ基礎は、床下全体を厚いコンクリートで覆う構造のため、シロアリが地面から直接侵入するのを物理的に防ぐ効果が期待できます。このため、「シロアリに強い」と言われることがあります。
主な理由として、コンクリートの物理的なバリア機能が挙げられます。厚さ150mm以上にもなるコンクリート層は、シロアリが顎でかじって突破することを困難にします。また、地面と建物の木材部分が直接触れるのを防ぐため、シロアリが好む湿気が床下に上がりにくい環境を作り出す点も特徴です。
しかし、この構造は完全な対策とは言えません。床下に土壌が残る設計のため、地中の湿気がこもりやすいという側面も持ち合わせています。したがって、逆ベタ基礎はシロアリの侵入を抑制する一定の効果はありますが、それだけで万全とは言えず、構造上の特性を正しく理解することが大切です。
シロアリに強い基礎はどれ?逆ベタ・ベタ・布基礎を比較

うちなー害虫バスターズ・イメージ
住宅の基礎にはいくつかの種類があり、それぞれシロアリに対する耐性が異なります。ここでは、逆ベタ基礎、ベタ基礎、布基礎の3つを比較し、どの基礎がシロアリに最も強いのかを考えてみましょう。
基礎の種類 | シロアリ耐性 | 主な理由 | コスト傾向 |
ベタ基礎 | 高い(★★★) | 床下全体がコンクリートで覆われ、湿気が少なく侵入経路が限定的 | 高い |
逆ベタ基礎 | 中程度(★★☆) | コンクリートで物理的に遮断するが、床下に土が残り湿気リスクがある | 中程度 |
布基礎 | 低い(★☆☆) | 地面が露出し湿気が多く、木材との接合部から侵入されやすい | 低い |
最もシロアリ耐性が高いのは、床下全面を鉄筋コンクリートで覆うベタ基礎です。地面からの湿気とシロアリの侵入経路を大幅に遮断できます。
一方、逆ベタ基礎はコンクリートのバリアがあるものの、床下に土が残るため湿気の問題を抱えやすく、耐性はベタ基礎に次ぐ「中程度」と考えられます。布基礎は、地面が露出している部分が多く、湿気がこもりやすいため、最もシロアリのリスクが高い構造です。
シロアリ対策を最優先するならばベタ基礎が最も優れた選択肢と言えますが、コストや断熱性など他の要素も考慮し、総合的に判断することが求められます。
布基礎のシロアリ対策が特に重要な理由と具体的な方法

うちなー害虫バスターズ・イメージ
布基礎は、他の基礎に比べてシロアリ対策が特に重要となります。なぜなら、構造的にシロアリが侵入しやすく、繁殖に適した環境を作りやすいからです。床下の地面が直接露出しているため、地中からの湿気が上がりやすく、シロアリが好む高湿度の状態が保たれやすいのです。
また、コンクリートの立ち上がり部分と建物の土台となる木材との間に隙間が生じやすく、そこが格好の侵入経路となります。シロアリは非常に小さな隙間からでも侵入できるため、布基礎の構造的な弱点は大きなリスクと言えます。
布基礎では積極的なシロアリ対策が不可欠です。具体的な対策としては、まず床下の地面に防湿シートを敷き、その上にコンクリートを打設して地面からの湿気と侵入経路を物理的に遮断する方法が有効です。さらに、定期的な薬剤散布や、床下の換気を見直して湿気がこもらないように環境を改善することも大切になります。
逆ベタ基礎のデメリットは?意外なシロアリの侵入経路

うちなー害虫バスターズ・イメージ
逆ベタ基礎はシロアリに強いとされる一方で、見過ごせないデメリットと意外な侵入経路が存在します。最大のデメリットは、床下に土壌が残る構造上、換気や防湿処理が不十分な場合に湿気が溜まりやすい点です。この湿気はシロアリを誘引する原因となり得ます。
また、一度侵入を許すと、床下空間が狭いため点検や駆除作業が困難になるという問題もあります。被害の発見が遅れ、気づいた時には深刻な状態になっているケースも少なくありません。シロアリの具体的な侵入経路としては、以下のような場所が挙げられます。
配管周りの隙間
給排水管やガス管などが基礎を貫通する部分には、コンクリートとの間にわずかな隙間ができます。この隙間はシロアリの絶好の侵入ルートとなり、実際に被害の多くがここから発生しています。
コンクリートの継ぎ目やひび割れ
コンクリートの打設時の継ぎ目(コールドジョイント)や、経年劣化によるひび割れも危険な侵入経路です。シロアリは0.6mm程度の隙間があれば侵入可能とされ、蟻道(ぎどう)と呼ばれる土のトンネルを作って内部へ進んできます。
これらのデメリットと侵入経路を理解し、設計段階から隙間を作らない工夫や、定期的な点検を行うことが逆ベタ基礎で家を守る鍵となります。
逆ベタ基礎でもシロアリ予防は必要ない?
「逆ベタ基礎ならシロアリ予防は必要ない」という考えは、残念ながら正しくありません。専門家の間では、逆ベタ基礎であっても予防対策は必須であるという見解が一般的です。
前述の通り、逆ベタ基礎には湿気が溜まりやすいという構造的な弱点があります。また、コンクリートのわずかなひび割れや配管周りの隙間が、シロアリにとって十分な侵入経路となり得ます。
国土交通省の調査データを見ても、防蟻処理をしていないベタ基礎の住宅では、築10年を超えると一定の割合でシロアリ被害が発生しているという事実があります。
さらに、新築時に施工される防蟻薬剤の効果は、一般的に5年程度で薄れてきます。効果が切れた後に対策を怠れば、シロアリ被害のリスクは年々高まっていくことになります。
逆ベタ基礎の構造を過信せず、新築時の確実な予防処理と、5年ごとの定期的な点検・再処理を行うことが、長期的に住宅を守るために極めて重要であると言えます。予防にかかる初期費用を惜しんだ結果、後に高額な駆除・修繕費用が発生する事態は避けるべきでしょう。
逆ベタ基礎のシロアリ対策!具体的な方法と費用

うちなー害虫バスターズ・イメージ
- ベタ基礎のシロアリ対策で使われる薬剤の効果と安全性
- シロアリ予防でベタ基礎にかかる費用の内訳と相場
- ベタ基礎のシロアリ予防はDIYで可能?方法と注意点
- 見逃しを防ぐ!ベタ基礎のシロアリ定期点検の重要性
- 逆ベタ基礎のシロアリ対策で後悔しないために
ベタ基礎のシロアリ対策で使われる薬剤の効果と安全性

うちなー害虫バスターズ・イメージ
ベタ基礎(逆ベタ基礎を含む)のシロアリ対策で専門業者が使用する薬剤は、主に「バリア工法」で使われる液剤と、「ベイト工法」で使われるIGR剤(昆虫成長制御剤)に大別されます。
バリア工法では、ネオニコチノイド系やフィプロニル系の薬剤を床下の土壌やコンクリート表面に散布し、薬剤の層(バリア)を形成してシロアリの侵入を防ぎます。これらの薬剤は、シロアリに対して高い殺虫効果を発揮しますが、効果の持続期間は約5年とされており、定期的な再施工が必要です。
一方、ベイト工法は、毒餌(ベイト剤)を建物の周囲に設置し、シロアリに食べさせて巣ごと根絶する方法です。効果が現れるまで時間はかかりますが、薬剤をむやみに散布しないため、環境への負荷が少ないのが特徴です。
安全性については、現在主流の薬剤は公益社団法人日本しろあり対策協会の認定を受けたものが多く、人体やペットへの影響は極めて低くなるよう配慮されています。ただし、施工中や施工直後は十分な換気を行うなど、業者の指示に従うことが大切です。
シロアリ予防でベタ基礎にかかる費用の内訳と相場

うちなー害虫バスターズ・イメージ
シロアリ予防を専門業者に依頼する場合、費用は建物の面積や施工方法によって変動します。一般的なベタ基礎住宅の費用相場は、坪単価で5,000円から10,000円程度、30坪の住宅であれば総額で15万円から25万円程度が目安となります。
費用の主な内訳は以下の通りです。
- 薬剤費
使用する薬剤の種類や量によって変わります。 - 作業費・人件費
施工に必要な作業員の費用です。 - 諸経費
車両費や事務手数料などが含まれます。 - 保証料
施工後の保証にかかる費用です。
多くの業者は、施工後に5年間の保証を付けています。この保証には、期間内にシロアリが再発した場合の無料再施工や、被害箇所の修復費用を一定額まで補償する内容が含まれる場合が多いです。
見積もりを取る際は、総額だけでなく、どのような作業が含まれ、保証内容はどうなっているのかを細かく確認することが重要です。また、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討することをおすすめします。
ベタ基礎のシロアリ予防はDIYで可能?方法と注意点

うちなー害虫バスターズ・イメージ
費用を抑えるために、シロアリ予防をDIYで行うことを検討する方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、完全な予防をDIYで行うのは非常に困難であり、リスクも伴います。
市販されているシロアリ駆除剤を使えば、目に見えるシロアリを一時的に駆除することは可能です。また、基礎のひび割れを補修材で埋めたり、家の周りに木材を置かないようにしたりといった環境整備も、予防の一環として自分で行えます。
ただ、専門業者が行うような床下全体の土壌処理や木部への薬剤注入は、専門的な知識と機材がなければ実施できません。中途半端な対策では、シロアリの侵入経路を完全に断つことは難しく、見えないところで被害が進行してしまう恐れがあります。
もしDIYで対策を行う場合は、あくまで応急処置や補助的な対策と位置づけ、定期的な専門家による点検と併用することが賢明です。被害が疑われる場合は、自己判断で対処しようとせず、速やかにプロに相談するべきでしょう。
見逃しを防ぐ!ベタ基礎のシロアリ定期点検の重要性

うちなー害虫バスターズ・イメージ
シロアリ被害から家を守る上で、最も大切なことの一つが定期的な点検です。特にベタ基礎や逆ベタ基礎は床下空間が狭く、被害の兆候を発見しにくいため、専門家によるプロの目でのチェックが欠かせません。
点検の推奨頻度は、薬剤の効果が切れる5年ごとが一般的です。このタイミングで点検と合わせて薬剤の再処理を行うことで、防蟻効果を持続させることができます。
セルフチェックのポイント
専門家の点検に加えて、自分自身でできるセルフチェックを習慣にすることも有効です。
- 羽アリの発生
春から初夏にかけて、家の中や周囲で羽アリを見かけたら要注意です。 - 蟻道(ぎどう)
建物の基礎や外壁に、土でできたトンネル状の道がないか確認します。 - 木材の異常
柱や壁を叩いてみて空洞音がしないか、床が不自然に沈まないかなどをチェックします。
これらの兆候は、シロアリが存在するサインかもしれません。一つでも当てはまる場合は、被害が拡大する前に専門業者に詳細な調査を依頼しましょう。早期発見・早期対応が、住宅の寿命と資産価値を守る上で何よりも重要です。
逆ベタ基礎のシロアリ対策で後悔しないために
この記事で解説してきた、逆ベタ基礎のシロアリ対策に関する重要なポイントを以下にまとめます。
- 逆ベタ基礎はコンクリートで物理的に侵入を防ぐ効果がある
- しかし床下に土が残り、湿気がこもりやすい弱点を持つ
- シロアリ耐性はベタ基礎より低く、布基礎よりは高い位置づけ
- デメリットは湿気リスクと点検・駆除の困難さ
- 主な侵入経路は配管周りの隙間やコンクリートのひび割れ
- 「予防は必要ない」という考えは誤りで、専門家は対策を推奨
- 対策の基本は5年ごとの薬剤処理と定期点検
- 薬剤はバリア工法とベイト工法の2種類が主流
- 現在使われる薬剤は人体やペットへの安全性が高い
- 予防費用の相場は30坪で15万円から25万円程度
- 見積もりでは保証内容の確認が不可欠
- DIYでの完全な予防は困難でリスクを伴う
- DIYはあくまで補助的な対策と考えるべき
- 5年ごとのプロによる点検で被害を未然に防ぐ
- 羽アリや蟻道などセルフチェックを習慣化することが大切