家の中でふと、赤茶色で小さい体に見合わないほど足が長い蜘蛛を見かけ、驚いた経験はありませんか。その正体はイエユウレイグモかもしれません。
イエユウレイグモはどこからやってくるのか、ゴキブリを食べるという話は本当なのか、そして卵を産んで増えるのではないかという不安もあるでしょう。イエユウレイグモは放置しても大丈夫なのか、もしいたらどうすればいいのか、多くの疑問が浮かぶことと思います。
この記事では、そんなあなたの悩みに寄り添い、科学的な情報に基づいて、この蜘蛛の生態から安全な対処法までを丁寧に解説していきます。
- 赤い足が長い蜘蛛の正体と、よく似た蜘蛛との見分け方
- 家の中に侵入する経路と、好む環境
- 人間への危険性の有無と、益虫としての役割
- 状況に応じた具体的な対処法と、再発を防ぐための予防策
その蜘蛛、赤い足が長い?その正体と生態を解説

うちなー害虫バスターズ・イメージ
- その正体は?赤茶色で小さい足長の蜘蛛の謎
- アシダカグモとの違いは?似ている蜘蛛との見分け方
- 幽霊蜘蛛と呼ばれる名前の由来とは?
- イエユウレイグモはゴキブリの天敵って本当?
- 気づけば大量発生?知っておきたいイエユウレイグモの卵
その正体は?赤茶色で小さい足長の蜘蛛の謎
家の中で見かける赤茶色がかった体色の、足が非常に長い蜘蛛は、多くの場合「イエユウレイグモ」であると考えられます。この蜘蛛は成体でも体の大きさは7mmから10mm程度と小型ですが、脚が著しく長く、全体では3cmを超えることもあります。
体は淡い黄褐色や灰色をしていますが、光の加減や個体差によっては赤茶色に見えることが特徴です。腹部は細長い楕円形で、天井や壁の隅、家具の裏側といった薄暗く静かな場所に不規則な形の巣を張って生活します。おとなしい性質で、人間に対して攻撃的になることはほとんどありません。
アシダカグモとの違いは?似ている蜘蛛との見分け方

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イエユウレイグモは、家の中で見かけるアシダカグモと混同されることがあります。しかし、両者には明確な違いがあるため、簡単に見分けることが可能です。
最も大きな違いは体の大きさと脚の太さです。アシダカグモは脚を含めると10cmを超える大型の蜘蛛で、脚も太くがっしりしています。一方、イエユウレイグモは体が小さく、脚は針金のように細く華奢な印象を与えます。
また、生態にも違いが見られます。アシダカグモは巣を張らずに歩き回ってゴキブリなどの獲物を探す徘徊性の蜘蛛です。これに対して、イエユウレイグモは巣を張って獲物がかかるのを待つ習性があります。
種類 | 体長(脚含まず) | 脚の特徴 | 巣の有無 |
---|---|---|---|
イエユウレイグモ | 7~10mm | 非常に細く長い | あり(不規則な網) |
アシダカグモ | 2.5~3cm(メス) | 太くがっしり | なし(徘徊性) |
幽霊蜘蛛と呼ばれる名前の由来とは?

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イエユウレイグモという名前の「幽霊」は、その独特な行動に由来します。この蜘蛛は、巣に何かが触れたり、危険を察知したりすると、体を高速で振動させる習性を持っています。この震えるような動きによって姿がぼやけて見える様子が、まるで幽霊のように見えることから「ユウレイグモ」と名付けられました。
この行動は、捕食者から身を守るための防御行動の一種と考えられています。見た目が少し不気味に感じられるかもしれませんが、これは彼らなりの威嚇であり、臆病な性質の表れとも言えます。このユニークな生態を知ることで、ただ怖いだけの存在ではない、興味深い一面が見えてくるかもしれません。
イエユウレイグモはゴキブリの天敵って本当?

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イエユウレイグモは、ゴキブリの天敵とまでは言えませんが、家の中の様々な小型害虫を捕食する益虫であることは事実です。彼らの主な餌は、コバエやチョウバエ、蚊、チャタテムシといった、人間にとって不快な虫たちです。
ゴキブリに関しては、成虫を捕食するには体が小さすぎます。しかし、孵化したばかりの幼虫であれば、巣にかかったものを捕食する可能性はあります。むしろ、ゴキブリの強力な天敵として知られるのは、アシダカグモの方です。
イエユウレイグモは私たちの生活空間において、知らず知らずのうちに害虫の数をコントロールしてくれる役割を担っています。
気づけば大量発生?知っておきたいイエユウレイグモの卵

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イエユウレイグモは、条件が揃うと家の中で繁殖することがあります。メスは一度に10個から40個程度の卵を産み、それらを糸でまとめた「卵嚢(らんのう)」と呼ばれる袋状のものを作ります。
この卵嚢はメスが口にくわえて持ち運び、孵化するまで熱心に保護するのが特徴です。卵は通常、2〜3週間ほどで孵化し、小さな子グモが出てきます。子グモは脱皮を繰り返して成長し、約3ヶ月で成体になります。
もし家の中で卵嚢を持ったメスを見つけた場合、それはこれから個体数が増える可能性があるサインです。とはいえ、孵化した子グモが全て生き残るわけではありません。
大量発生が気になる場合は、卵嚢を持った親グモを家の外に逃がすか、後述する対処法を検討するのが良いでしょう。
その蜘蛛、赤い足が長い?危険性と対処法

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- 素手で触っても大丈夫ですか?
- イエユウレイグモはどこから?家への意外な侵入経路
- もう見たくない!効果的な侵入予防策
- 益虫だけど…イエユウレイグモがいたらどうすればいいですか?
- 蜘蛛、赤い足が長い場合は益虫かも(まとめ)
素手で触っても大丈夫ですか?

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イエユウレイグモの危険性について心配される方もいますが、人間にとっては基本的に無害な蜘蛛です。この蜘蛛は毒を持っていますが、非常に弱く、人間の体に影響を及ぼすことはまずありません。また、牙が小さく弱いため、人の皮膚を貫くこと自体が困難です。
性格も非常におとなしく、自ら人に近づいたり攻撃したりすることは考えにくいです。素手で触ろうとしても、素早く逃げるか、体を震わせて威嚇するだけで、咬みついてくることは極めて稀です。万が一、無理に捕まえようとして咬まれたとしても、痛みを感じることはほとんどなく、腫れたりする心配もありません。
イエユウレイグモを過度に怖がる必要はなく、素手で触れてしまっても安全上の問題はないと言えます。
イエユウレイグモはどこから?家への意外な侵入経路

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イエユウレイグモは、私たちが思う以上に小さな隙間から家の中に侵入してきます。彼らは屋外よりも屋内を好むため、一度侵入するとそのまま住み着いてしまう場合が多いです。
主な侵入経路としては、以下のような場所が挙げられます。
換気扇や通気口
キッチンや浴室の換気扇、壁の通気口などは、外と直接つながっているため、格好の侵入ルートとなります。フィルターが汚れていたり、隙間が空いていたりすると、より侵入されやすくなります。
窓やドアの隙間
網戸の破れや、サッシと窓枠のわずかな隙間、ドアの下の隙間なども、彼らにとっては十分な侵入経路です。特に古い建物では、気づかないうちに隙間が大きくなっていることがあります。
排水溝やエアコンの配管
浴室やキッチンの排水溝、エアコンのドレンホースを伝って侵入するケースもあります。これらの場所は湿気が多く、餌となる虫も集まりやすいため、蜘蛛にとって魅力的な環境です。
もう見たくない!効果的な侵入予防策

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イエユウレイグモの侵入を未然に防ぐためには、侵入経路を塞ぎ、彼らが好まない環境を作ることが大切です。
まず、侵入経路となりうる隙間を徹底的に塞ぎましょう。窓やドアの隙間には隙間テープを貼り、網戸に破れがあれば補修します。換気扇や通気口には、目の細かいフィルターやカバーを取り付けるのが効果的です。エアコンの配管の壁の貫通部も、パテなどでしっかりと埋めることをおすすめします。
次に、蜘蛛の餌となる他の害虫を減らすことも重要です。生ゴミはこまめに処理し、食べ物のカスなどを放置しないようにしましょう。定期的な掃除と換気で家の中を清潔に保ち、湿度が高くなりすぎないように管理することも、蜘蛛が住み着きにくい環境作りに繋がります。
益虫だけど…イエユウレイグモがいたらどうすればいいですか?

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イエユウレイグモが益虫であると理解しても、どうしても見た目が苦手で、家の中にいることに抵抗がある場合もあるでしょう。その際は、状況に応じた対処法を選択します。
共存を選ぶ場合
人間への害はないため、基本的には放置しても問題ありません。コバエなどの害虫を捕食してくれるメリットを考えれば、無理に駆除しないという選択も合理的です。巣が気になる場合は、ホウキなどでそっと払い、蜘蛛ごと外に逃がしてあげるのが良いでしょう。
駆除を選ぶ場合
駆除する場合は、市販の殺虫剤が有効です。ただし、薬剤を使いたくない場合は、掃除機で吸い取ってしまう方法もあります。吸い取った後は、念のため紙パックをすぐに密閉して捨てるようにしてください。また、ティッシュなどで直接捕獲する方法もありますが、動きが素早いので少しコツがいるかもしれません。
蜘蛛、赤い足が長い場合は益虫かも(まとめ)
記事のポイントをまとめます。
- 家で見かける赤い足が長い蜘蛛の多くはイエユウレイグモ
- 体の大きさは1cm未満と小さいが、脚が非常に細長いのが特徴
- 大型で脚が太いアシダカグモとは大きさや巣の有無で見分けられる
- 危険を察知すると体を高速で震わせるため「幽霊蜘蛛」と呼ばれる
- 人間への攻撃性はなく、毒も非常に弱いため基本的に無害
- コバエやダニなどの小さな害虫を食べる益虫である
- ゴキブリの成虫は捕食しないが、幼虫なら食べる可能性がある
- メスは卵の入った卵嚢を口にくわえて保護する習性を持つ
- 窓や換気扇、排水溝などのわずかな隙間から屋内に侵入する
- 湿気が多く、餌となる虫がいる場所を好む
- 侵入を防ぐには、隙間を塞ぎ、家を清潔に保つことが有効
- 共存する場合は、巣が気になれば外に逃がす程度で良い
- 駆除する場合は、殺虫剤や掃除機を使用する方法がある
- その正体と生態を理解すれば、過度に怖がる必要はない存在
- 見た目は独特だが、私たちの生活に貢献している側面もある